高校海外研修はアメリカ東海岸のボストン、ニューヨーク、ワシントンをめぐり、アメリカ合衆国の歴史・文化・経済・政治を体感する7泊9日の研修の旅であった。見学だけではなく、ホームステイ、ニューヨークで活躍されている本校の卒業生や、日本の企業の方々との懇談会もあり、とても充実した内容の研修になった。
第1日目 【ボストン】 Friday, March 10
成田空港から約13時間のフライトの後、3月10日(金)午後7時頃(3月10日成田発午後6時30分の便なのだが時差の関係で)、ボストンのローガン空港に到着した。入国手続きなどを無事終え、出迎えのバスに乗り込みホテルに向かった。天気は小雪混じりで、しかもまさに凍えるような寒さであった。夕食会場である『UNO』というピザレストランへ行き、アメリカで最初の食事をした。長時間のフライトにもかかわらず、生徒はみな元気にホテルにチェックインをし、各自の部屋で荷物をとき、明日からの活動の準備を終えて、ようやく眠りに就くことができた。
アメリカでの最初の食事
第2日目 【ボストン】 Saturday, March 11
前夜からの雪が地面を覆いつくし真冬に戻った感じがした。しかも気温は氷点下10度よりもさらに低いとのこと。しかし、寒気は厳しかったが、無風で時折日が差し、ガマンできないほどではなかった。まずボストンでの最初の見学地であるハーバード大学に行った。土曜日の早朝ということもあり、大学構内は閑散としていた。伝統の重みか、これまでの大学の歴史を物語るキャンパス内の建物に目を奪われること度々であった。新潟市内の中学を卒業されたガイドさんが大学の歴史、学生の生活、施設や建物についてエピソードなどを交えながら説明をしてくれた。生徒はみな熱心にガイドさんの話に耳を傾けていた。
ジョン・ハーバード像にて ハーバード大学正門前にて
ボストン美術館へ向かう途中でフェンウエイスタジアムの周辺をバスで見学し、売店に立ち寄った。美術館到着後、約2時間ほどで広い館内に展示されている名画のいくつかを鑑賞した。現在日本の浮世絵は常設の展示作品から除外されているとのこと。その後、昼食をとり、フリーウェイをひた走り、一路ホームステイ先のファミリーとお会いするためにスプリングフィールド市内(バスケットボール発祥の地)にある教会の集会所に向かった。集会所に着くとまもなく、ホストファミリーのリーダー役の女性が、お子さんと一緒に軽食の準備をしてくださった。ピザやサラダや飲み物などが用意された。次々にホストファミリーが到着し、生徒たちは多少緊張気味ではあったが、にこやかに応対し、ホストファミリーとしばらく歓談をしたのち、それぞれのホームステイ先へと向かった。
第3日目 【ボストン近郊】 Sunday, March 12
各ホームステイ先で一日を過ごす。この日からサマータイム制がスタートした。真夜中の2時に時計の針を1時間進めるそうだ。
第4日目 【ニューヨーク】 Monday, March 13
土曜日に別れた教会の集会所にふたたび集合した。生徒は一人一家庭のホームステイを経験して、それぞれが精神的に一回り成長し、ちょっぴり大人になったような顔をしていた。ホストファミリーと別れ、バスでニューヨークへと向かった。トンネルをまったく通過することなく、4時間ほど起伏のない平坦な道をバスに揺られ、昼食会場のPlanet Hollywoodに到着した。天気予報によればかなりの積雪が今後予想されるとのことで、この日の午後から翌日までの予定を検討した。昼食後、タイムズスクエア、自由の女神に行ったが、あいにくの曇り空で、自由の女神は、かすかにその姿が見える程度だった。自由の女神を後にして、9・11同時多発テロで崩壊した世界貿易センタービルの跡地に作られた、グランドゼロ・9・11メモリアルを訪れた。多くの人々が犠牲者の冥福を祈っていた。その後、エンパイアステートビルからニューヨークを一望した。予想に反してそれほどの混雑もなく、スムーズにエレベーターで86階にある展望台に上ることができた。展望台からはマンハッタン島にひしめく高層ビル群を一望し、遠くには自由の女神像も見ることができた。世界経済の中枢であるマンハッタンは生徒の目にはどのように映ったのだろうか。その後、新潟第一中学校のOBでJTB USAにお勤めの竹田さんほか2人の方と合流した。3人の方とは夕食をとりながら話をお聞きすることになっていた。いずれもアメリカ国内の大学を卒業されており、今までの経験や海外で仕事をする大変さややりがいについて話していただいた。とても刺激的で貴重なひとときを過ごすことができた。夕食後、アメリカ人の日常の生活を実感できる食料品スーパーマーケットに行った。陳列されている食料品からアメリカと日本の食文化の違いを実感し、買い物の体験もできた。明日の天候に備えての買い物客も相当数来店し、店内は混雑していた。
タイムズ・スクエアにて 卒業生との会食を終えて
第5日目 【ニューヨーク】 Tuesday, March 14
発達した低気圧(STELLAと命名された)の影響による積雪のために地下鉄以外の公共交通機関の運休と公共施設の休館という事態に遭遇した。前夜からガイドさんがこの日利用できる地下鉄の経路や見学できる施設を調べてくださり、朝食後混乱もなくグランドセントラル駅に行くことができた。地上を走る電車は運休(canceled)という希有な時刻表を目にすることができた。駅の天井に描かれたデザイン画と星座を示す明かりが鮮やかであった。生徒はアメリカではじめて自分で注文をして食事をとる体験をした。英語を話したり聞き取ったりすることにも少し慣れてきたようでそれぞれが思い思いの昼食を楽しんでいた。その後この日唯一見学可能なニューヨーク近代美術館に向かった。入口付近から混雑し、入館できるまでかなりの時間を費やした。しかし、見応えのある作品が数多く展示されていた。美術館の窓が非常に大きく設計されていた。窓から見える中庭の木々と、その背後にそびえる摩天楼が絵画のようであり、設計者が意図した風景を観賞することができた。歩道の状況は除雪や融雪が進み比較的歩きやすかったのでセントラルパークまで歩いて移動することにした。セントラルパーク入口にあるプラザホテルに入館し、宿泊先のホテルまで運行を開始したバスに乗って引き返した。夕食をとったレストランが、タイムズスクエアに面していたこともあり、きらびやかネオンサインがまぶしく、大勢の観光客で混雑していた雰囲気を少し楽しんだ後ホテルに戻った。
第6日目 【ワシントンD.C.】 Wednesday, March 15
朝8時にニューヨークのホテルを出発し、専用バスでワシントンD.C.に向かった。その移動はニューヨーク州、ニュージャージー州、デラウエア州そしてメリーランド州を駆け抜けるもので、午後1時すぎにワシントンに到着した。ポトマック河畔にあり市内が一望できるホテルの最上階のレストランで昼食をとった後、リンカーン記念館に行った。館内には第16代大統領エイブラハム・リンカーンの巨大な大理石像がある。南側の内壁面には「人民の、人民による、人民のための政治」で有名なゲティスバーグの演説の全文が刻まれていた。次にスミソニアン博物館群の一つである国立航空宇宙博物館を訪れた。ライト兄弟の飛行機やアポロ11号の司令船など、航空や宇宙技術に関する展示が充実しており、とても人気のある博物館であるため、多くの人が訪れていた。次に国立自然史博物館を訪れた。この博物館もスミソニアン博物館群の一つであり、航空宇宙博物館と同様に人気のある博物館である。太古から現代にいたる地球の自然史を学べる博物館で、入り口からすぐのところに展示してある象のはく製は圧巻であった。
リンカーン記念館にて リンカーン像
第7日目【ワシントンD.C.】 Thursday, March 16
見学最終日。まず国会議事堂を訪れた。気温はあいかわらず低かったが快晴であった。一度咲き開いたこぶしやおかめ桜などが寒波の影響で枯れてしまったそうだ。(帰国後、例年通り桜祭りが開催され、人々の目を楽しませてくれる桜の花がニュース映像に登場した。)次にホワイトハウスに行ったが、官邸に近づいたとたんに、シークレットサービスが大声で、この場から立ち退くようにと叫ぶ声がした。ガイドさんによればよくあることらしい。ホワイトハウス周辺の厳重な警備の様子を見ることができた。同時多発テロ以来一段と厳重になったそうだ。レストランで昼食をとった後、バスで40分くらい走ったところにある、国立航空宇宙博物館の別館にあたる、スティーブン・F・ウドヴァーヘイジー・センターを訪れた。第二次世界大戦時に使用された戦闘機やエール・フランス・コンコルドなどの航空機が数多く展示されていた。また、スペース・シャトル・ディスカバリーなどの、宇宙船やロケットが展示されているコーナーもあった。移動の途中で、ガイドさんからアメリカの学校制度に関して、特に大学入試などについて詳しく説明していただいた。また、生活面での日米の違い、仕事に臨むときの考え方など、多岐にわたって熱心にご自身の経験を交えながら話していただき、非常に参考になりありがたかった。再びワシントンD.C.に戻り、中華街にある大きな中華料理店で夕食を食べた。翌日は空港へ出発する時間が早く、ホテルで朝食がとれないので、その朝食を調達するためスーパーマーケットに立ち寄った。いわゆる日本のコンビニエンスストアのような品揃えの店であり、日本のコンビニと同じ役目を果たしているようだ。
国会議事堂にて ホワイトハウスにて